悪夢の始まり(13/13)
 

 

 

「股でくわえ込んで、ずいぶんと嬉しそうじゃないか」

 

 

「いやっ・・・・・・こんな・・・・こんなの・・・」

 

 

「そうか?」

 

 

「ひゃん!・・・ああんっ・・・あ、ぁあ・・・あんっ・・・」

 

 

激しく前後にすってやると、今度ははっきりと嬌声が響いた。ハセヲの口から甘い吐息が漏れると、

 

こっちまでとろけそうだ。

 

 

「むしろ、悦んでるのではないのかな?・・・・ほら」

 

 

「ああっ・・・・いや、ちがっ・・・・・・」

 

 

いつのまにか、ハセヲは自ら腰を動かしていた。刺激を貪るように卑しく。とんだ淫乱だ。

 

 

「イきたいか?」

 

 

「・・・・・・・」

 

 

ハセヲは顔をそらす。

 

 

「正直に答えたらどうだ?・・・昇りつめて、果てたいんだろう?」

 

 

「・・・・・・・ッ」

 

 

もう逃げ場はない。あるのは快楽だけ。追い討ちをかけるように、心地よいテノールが耳元に話し

 

かけてくる。すでにハセヲは快楽に流され、思考が混濁しつつあった。

 

 

「んっ・・・・あはっ・・・・」

 

 

「素直に感じろ」

 

 

太いモノがズゴズゴと膣を蹂躙する。無理やりに開かれ、まだ血のにじんだソコから愛蜜がこぼれ

 

出す。はみ出した柔肉は充血し、実に鮮やかなピンク色だ。男の突き上げに身体を揺すられながら、

 

ハセヲは上目遣いにこちらを見ている。濡れた瞳は何かを訴えていた。膣内がさらに熱くなる。熟れ

 

てドロドロに溶けた果肉のように、至高の感触に包まれ、互いに限界が近づいていた。ハセヲはうつ

 

むく。あぁ、もう耐えられない。抗う力なんてとうに尽きていた。男の肉棒に秘部を支配され、全身を

 

揺すられながら、辿り着く答えは一つしかない。

 

 

「・・・・・イきたい・・・・」

 

 

搾り出した声は蚊が鳴くように小さく、震えていた。だが、はっきりと享受を認めたのだ。あまりの羞恥

 

と屈辱にぎゅっと目を瞑る。震える足にも力がはいる。その一言に満足した男は、腰を鋭く何度も差し

 

込み、一気に上りつめる。

 

 

「あっ・・・・ああっ・・・・・はぁんっ!・・・・・・あぁああああ――ッ!!」

 

 

「・・・・・くっ」

 

 

同時に果てた。勢いよく吐き出された白濁が、膣からあふれ出し、ハセヲの内腿にべったりと付着する。

 

ハセヲは意識が飛んだのか、弧を描いて倒れこむ。その倒れこむ身体を男は支え、表情を伺うように

 

抱き上げる。達してしまったハセヲの身体は痙攣し続け、詰まった呼吸しかでてこない。完全なピーク

 

に達したオーガズムは身体を苛み、やがて意識は昏倒するだろう。

 

 

「んぁ・・・・ん・・・ふ、ぅん・・・・」

 

 

絶頂の余韻と共に、男はハセヲの唇に触れた。

 

 

「ん・・・・ふぁ・・・・」

 

 

ハセヲがわずかに反応する。やわらかい感触がくすぐったい。

 

 

(・・・キス・・・されてる・・・?)

 

 

昏倒する直前、それだけは認識できた。ヘンなの。恋人でもないのに、キス、するなんて。

 

そんな不思議な感覚に包まれながら、蓄積された疲労からか、ハセヲは眠るように気を失う。

 

しかし、ハセヲの表情は恍惚に満たされているように安らかだった。

 

 

 

これが悪夢となるか、吉夢となるか、それはハセヲ自身にさえ分からない。

 

 

 

 

 

 

 恍惚

 

 

(終)

 

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