その日、ハセヲは一人、@HOMEの壁に向かって物思いにふけていた。思考することはただ一つ、
この前のクエスト屋での待ち合わせのことである。考えても考えても、訳が分からない。分かるのは、
自分が羞恥の極限に至ったということくらいだ。もうあんな思いは二度としたくない。しかし、身体に
残った疼きの行方が気にな―――ハセヲはプルプルと頭を振る。なんてことを考えているんだ自分。
落ち着け。もう忘れろ。うじうじしてても何も変わらない。さっさとレベル上げに行く方が賢い選択だろ。
うん。フィールドに行こう。ハセヲは一人漫才を済ませ、@HOMEを出ようと振り返る。
「あっ・・・・・・」
ハセヲが振り返ったとき、目の前にはオーヴァンが立っていた。それは今、ハセヲにとって一番会い
たくない人物でもある。しまったと思う。痛恨の極みだ。物思いに沈みすぎて@HOMEに入ってきた
ことにさえ気づかないとは。とりあえず逃げよう。だが、そそくさと逃げようとする少年を手駒にとる
ように、オーヴァンは囁く。
「ハセヲ」
そう名前を呼ばれて、ハセヲは立ち止まる。ゆっくりと、複雑そうな顔で男の顔を見上げた。優しく
名前を呼べば、逆らえないことを彼は知っている。オーヴァンは続けて囁く。
「あんなに敏感に反応して、ひょっとして自分で触ったことも無かったのかな?」
「・・・・・・ッ」
「膝まで震えさせて。もっと刺激が欲しかったかい?」
「あ、あぁ・・・・・・っ」
「また今日もしてあげよう」
「や・・・やめて下さいッ」
オーヴァンの声と言葉が耳をくすぐる。ハセヲが必死に出した言葉は、語調が強いものの、音量の
小さいかすれた声だった。オーヴァンはくつくつと笑う。
「なんだ?まだ何もしてないぞ」
「もう、やめ・・・・・・」
余裕たっぷりの男を前に、ハセヲの声はどんどん弱くなっていく。やる前には何か言えても、
触れれば逆に何もいえなくなる格好の獲物だ。思わず笑みがこぼれる。
「くく・・・・・」
オーヴァンは動けなくなった獲物の手を取り、壁へと押し付ける。不安そうに後ろを伺う獲物にかま
わず、ゆっくりと手を伸ばしてその肌に触れた。
「あっ・・・やだ、また・・・」
オーヴァンの手が直接、肌をすべる。手は次第に下りていき、また内側へと進んでいく。右腕だけな
のに、器用にボトムを脱がし、その下の布地にさえ触れてきた。
「んっ・・・・あぁ・・・んうっ・・・ん・・・・」
ハセヲは自分から声を殺し、身体の動きも最小限に抑えて、オーヴァンの手を受け入れている。顔を
壁に寄せ、腰を突き出すような体勢になっているが、無意識のようだ。
「・・・・ふっ・・・あ、ああ・・・・」
「声は出してもいいぞ。今日は誰もこない」
ハセヲは瞳を閉じて、オーヴァンの愛撫に耐えている。今回は路上ではないし、ナゾ☆ランディも今は
なぜかいない。声を出しても誰にも気づかれる心配はない。だが、声を出すことだけはプライドが許さ
ないのだろう。頑なに声を押さえ込もうと必死だ。これではおもしろくない。
「んあっ!・・・・・」
唐突に、胸の飾りをつねられる。いつのまにか、オーヴァンの手が移動していたらしい。タンクトップを
ベルトごと捲り上げられ、少々苦しい。しかし、右の飾りからもたらされる刺激が強すぎて、それどころ
ではなかった。ハセヲは悩ましくその身をくねらす。
「んっ・・・・あ、ああ・・・・・・」
「どうした?声を上げて。・・・あぁ、左が寂しいのか」
「ちがっ・・・いや・・・ああッ・・・」
グッと身体を引き寄せられ、左に生暖かいものが触れた。舌だ。オーヴァンの舌が左の飾りを濡らし
ながらこねくり回しているのだ。右は手の刺激を受けたまま、左は舌で弄ばれる。そんな左右別々の
刺激が、ハセヲをいっそう困惑させる。
「ふっ・・・ふぁっ・・・・はぅっ・・・・」
ハセヲの表情は、感じたことのない刺激に戸惑いつつ、何かに耐えているようにも見える。未知の
刺激に踊らせられながらも、未だにその小さな身体をよじらせ、オーヴァンの手から必死に逃れよ
うとしているのだ。その健気な姿はどこか扇情的でもあった。
「ん・・・ふぁ・・・あ、ああん・・・・やぁぅッ」
オーヴァンは宥めるように鎖骨を吸う。ハセヲは恥ずかしさと奇妙な快感から顔を背けることしか
できない。絶えず身をよじらせるハセヲにかまわず、オーヴァンはぷっくりと膨れた実を指で嬲った。
実を強く摘まれ、ハセヲが痛みに呻くと、優しく手で包まれる。その繰り返しで、執拗に胸を責め立
てられる行為が続いた。