悪夢の始まり(02/13)
 

 

その日、ハセヲは一人、@HOMEの壁に向かって物思いにふけていた。思考することはただ一つ、

 

この前のクエスト屋での待ち合わせのことである。考えても考えても、訳が分からない。分かるのは、

 

自分が羞恥の極限に至ったということくらいだ。もうあんな思いは二度としたくない。しかし、身体に

 

残った疼きの行方が気にな―――ハセヲはプルプルと頭を振る。なんてことを考えているんだ自分。

 

落ち着け。もう忘れろ。うじうじしてても何も変わらない。さっさとレベル上げに行く方が賢い選択だろ。

 

うん。フィールドに行こう。ハセヲは一人漫才を済ませ、@HOMEを出ようと振り返る。

 

 

「あっ・・・・・・」

 

 

ハセヲが振り返ったとき、目の前にはオーヴァンが立っていた。それは今、ハセヲにとって一番会い

 

たくない人物でもある。しまったと思う。痛恨の極みだ。物思いに沈みすぎて@HOMEに入ってきた

 

ことにさえ気づかないとは。とりあえず逃げよう。だが、そそくさと逃げようとする少年を手駒にとる

 

ように、オーヴァンは囁く。

 

 

「ハセヲ」

 

 

そう名前を呼ばれて、ハセヲは立ち止まる。ゆっくりと、複雑そうな顔で男の顔を見上げた。優しく

 

名前を呼べば、逆らえないことを彼は知っている。オーヴァンは続けて囁く。

 

 

「あんなに敏感に反応して、ひょっとして自分で触ったことも無かったのかな?」

 

 

「・・・・・・ッ」

 

 

「膝まで震えさせて。もっと刺激が欲しかったかい?」

 

 

「あ、あぁ・・・・・・っ」

 

 

「また今日もしてあげよう」

 

 

「や・・・やめて下さいッ」

 

 

オーヴァンの声と言葉が耳をくすぐる。ハセヲが必死に出した言葉は、語調が強いものの、音量の

 

小さいかすれた声だった。オーヴァンはくつくつと笑う。

 

 

「なんだ?まだ何もしてないぞ」

 

 

「もう、やめ・・・・・・」

 

 

余裕たっぷりの男を前に、ハセヲの声はどんどん弱くなっていく。やる前には何か言えても、

 

触れれ逆に何もいえなくなる格好の獲物だ。思わず笑みがこぼれる。

 

 

「くく・・・・・」

 

 

オーヴァンは動けなくなった獲物の手を取り、壁へと押し付ける。不安そうに後ろを伺う獲物にかま

 

わず、ゆっくりと手を伸ばしてその肌に触れた。

 

 

「あっ・・・やだ、また・・・」

 

 

オーヴァンの手が直接、肌をすべる。手は次第に下りていき、また内側へと進んでいく。右腕だけな

 

 

のに、器用にボトムを脱がし、その下の布地にさえ触れてきた。

 

 

「んっ・・・・あぁ・・・んうっ・・・ん・・・・」

 

 

ハセヲは自分から声を殺し、身体の動きも最小限に抑えて、オーヴァンの手を受け入れている。顔を

 

壁に寄せ、腰を突き出すような体勢になっているが、無意識のようだ。

 

 

「・・・・ふっ・・・あ、ああ・・・・」

 

 

「声は出してもいいぞ。今日は誰もこない」

 

 

ハセヲは瞳を閉じて、オーヴァンの愛撫に耐えている。今回は路上ではないし、ナゾ☆ランディも今は

 

なぜかいない。声を出しても誰にも気づかれる心配はない。だが、声を出すことだけはプライドが許さ

 

ないのだろう。頑なに声を押さえ込もうと必死だ。これではおもしろくない。

 

 

「んあっ!・・・・・」

 

 

唐突に、胸の飾りをつねられる。いつのまにか、オーヴァンの手が移動していたらしい。タンクトップを

 

ベルトごと捲り上げられ、少々苦しい。しかし、右の飾りからもたらされる刺激が強すぎて、それどころ

 

ではなかった。ハセヲは悩ましくその身をくねらす。

 

 

「んっ・・・・あ、ああ・・・・・・」

 

 

「どうした?声を上げて。・・・あぁ、左が寂しいのか」

 

 

「ちがっ・・・いや・・・ああッ・・・」

 

 

グッと身体を引き寄せられ、左に生暖かいものが触れた。舌だ。オーヴァンの舌が左の飾りを濡らし

 

ながらこねくり回しているのだ。右は手の刺激を受けたまま、左は舌で弄ばれる。そんな左右別々

 

刺激が、ハセヲをいっそう困惑させる。

 

 

「ふっ・・・ふぁっ・・・・はぅっ・・・・」

 

 

ハセヲの表情は、感じたことのない刺激に戸惑いつつ、何かに耐えているようにも見える。未知の

 

刺激に踊らせられながらも、未だにその小さな身体をよじらせ、オーヴァンの手から必死に逃れよ

 

うとしているのだ。その健気な姿はどこか扇情的でもあった。

 

 

「ん・・・ふぁ・・・あ、ああん・・・・やぁぅッ

 

 

オーヴァンは宥めるように鎖骨を吸う。ハセヲは恥ずかしさと奇妙な快感から顔を背けることしか

 

できない絶えず身をよじらせるハセヲにかまわず、オーヴァンぷっくりと膨れた実で嬲った。

 

実を強く摘まれハセヲが痛みに呻くと、優しく手で包まれる。その繰り返しで、執拗に胸を責め立

 

てられる行為が続いた。

 

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